瑠璃光院 白蓮華堂
『寒牡丹』
2015-12-16
早いもので今年も残すところ半月となりました。
初雪の便りが各地から届き、東京はいつ頃だろうか、
とボンヤリ考えたりします。
白蓮華堂のエントランスから見える滝は、
じっと見ていると牡丹雪が落ちているように見え、
ついつい眺めてしまうのです。
江戸時代の俳人、与謝蕪村はこんな句を詠みました。
「牡丹散りて うちかさなりぬ 二三片」
牡丹といえば通常春咲きの花ですが、
突然変異で生まれた二期咲きの『寒牡丹』という品種をご存じですか?
寒牡丹の多くは、春のつぼみは摘み取られ、
秋のつぼみをワラの霜囲いをして冬に開花させます。
葉はほとんど無く、すべての栄養分は厳しい寒さの中、
全身全霊でただ、花開く事についやします。
背も低く、花も小ぶりで決して華やかではありませんが、
その懸命な姿には力強さを感じ得ます。
江戸の期に寒牡丹が存在したかはわかりませんが、
蕪村の詩は、こうして懸命に咲いたものの時が経てば
無情な自然の摂理で花びらが二、三片、重なりあって落ちていく、
そんな物悲しい情景を感じさせる美しい句です。
今冬もそろそろ、ここ新宿にも雪が舞うことでしょう。
皆様、お身体をお大事にして下さい。
←「日曜仏教礼拝(12月13日・岡村先生)」前の記事へ 次の記事へ「報恩講・総供養会」→