瑠璃光院 白蓮華堂
日曜仏教礼拝(2月14日・永楽先生)
2016-02-14
和讃のひかり―安楽浄土にいたるひと
安楽浄土にいたるひと
五濁悪世にかへりては
釈迦牟尼仏のごとくにて
利益衆生はきわもなし 讃阿弥陀仏偈和讃
一 語句の意味
▽安楽浄土=極楽浄土。悪や苦がなく安穏で楽だけの世界。
▽五濁悪世=末世になって娑婆世界が悪で濁っていること。
劫濁・見濁・煩悩濁・衆生濁・命濁の五つ。
劫濁=時代が濁ること。戦争や災害、流行病などが起こる。
見濁=邪見が盛んになって考えが混乱する。
煩悩濁=煩悩が盛んになって人の心を悩ます。
衆生濁=道徳が衰え人の身心が濁る。
命濁=生命が濁って寿命が短くなること。
▽利益=仏教では浄土に往生すること。一
般の現世利益は、商売繁盛、出世、
大金持ちになって遊んで暮らす…など物質的・現実的なもの。
いずれ無くなってしまうか、
達成しても次々と新たな欲望が生まれて満足することはない。
二 和讃の意味
(意味は)「安楽の浄土に往生した人は、そこでのんびりするのでなく、
汚れと悪に満ちたこの娑婆世界に還って来て、
お釈迦様と同じように衆生を利益(救済)することに尽くす」。
往還回向(おうげんえこう)、二種回向といい、
浄土に往生して仏と成って(往相)、その後、
仏としてこの世に還ってきて皆をたすけるはたらきをする(還相)、
ことを表した和讃。「自利利他」といい、自らを利益し他も利益する。
自分だけの幸せでなく、皆一緒に…という大乗仏教の真髄。
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